慢性疾患 変形性股関節症 症状・病態 加齢や酷使あるいは外傷(微小外傷の蓄積のこともあります。)などによって発生する 一次性のものと、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全から続発する二次性のものとに分類されます(図1)。二次性のものの中には、大腿骨頭無腐性壊死(アルコール依存やステロイド連用によって若年でも発症します。)から移行することもあります。 (図1) 正常股関節 臼蓋形成不全症 変形性股関節症 変形性膝関節症と同様に、関節軟骨が磨耗して生じた微小軟骨片(デブリ)が炎症の主な原因となります。 股関節はユニバーサルジョイントといって、自在継手のようにあらゆる方向に動かせる関節であると同時に、体重をすべて支えなければなりません。変形によって関節の不適合が生じたり、デブリのような介在物が存在したりすると、歩行などによって激しく痛みます。また開排制限など関節の動きが不十分になってきます。 治療 初期や進行期であっても、手術を勧める趨勢がありますが、厳に戒めるべきであると考えています。もちろん年齢や活動性などから患者さんの意向をよく汲み、臼蓋形成などの根治手術を勧めるのは考慮されると思いますが、人工股関節手術(図2)はサバイバル手術と位置づけなくてはなりません。麻酔のリスクもありますし、電化製品のような高い完成度を期待できる手術ではなく、かなり術後成績にばらつきがあるからです。また人工関節には耐用年数があり、それほど長いものではありません。土台、無機物である金属(人工関節)を、有機物の人体に接合することに困難があります。継ぎ目がうまくいかないのです。 私はご本人に先ず病期と選択肢をよく説明し、基本的には筋力強化や減量等のリハビリを主とした保存療法を勧めます。痛みの管理には薬剤や関節注射などがあります。 (図2)人工股関節全置換術 テニス肘(上腕骨外上顆炎) 前の記事 手関節部腱鞘炎(ケルバン腱鞘炎・尺側手根屈(伸)筋腱鞘炎) 次の記事