スポーツ外傷・障害

腰椎分離症

病態・症状

 陸上や球技などのスポーツを活発に行う、小学高学年から中高生くらいまでの、伸び盛りの世代のお子さんが腰痛を訴えた場合、疑わなければなりません。

 脊椎は原則として、24個の椎骨(背骨の最小単位)が、縦に連なって構成されています。椎骨は、前方が椎体という二重焼きのような土台部分であり、一方、後方は椎弓という屋根瓦状の部位となり、前方と後方は、中央のスペースをリング状に取り囲みながら、一体となっています(図1)。椎弓部において、上方椎との椎間関節のすぐ下で、分離は起こります(図2)。

腰椎分離症_01

(図1)

(図2)

 背中を強くそらす動作や、ジャンプからの着地動作などでこの部に強い力がかかり、何度も度重なるうちに、疲労骨折となったのが分離症です。

 分離部に負担がかかる背をそらす動作や、前かがみの動作でも痛みが増します(図3)。

(図3)

腰椎分離症_03_1

体をそらすと痛い

腰椎分離症_03_2

前かがみにて手が床に付かない

治療

 早期に発見できた場合、コルセットなどの局所安静(図4)にて骨癒合が期待できることがあります。この場合は、スポーツ活動は完全休止して骨癒合を目指します。残念ながら、分離症指摘までに時間が経ちすぎている場合は、骨癒合をあきらめ、痛みをコントロールしながら、筋力強化などのリハビリ(図5)で対応することになります。

 ただ、骨癒合の見込みがあるかどうかの判定は、困難なことも少なくありません。私はおおむね一ヶ月以上前に発症していると考えられる場合は、レントゲン所見も加味してですが、骨癒合にあまりこだわらないことにしています。厳重にコルセット固定など行っても、なかなか思うように骨癒合に至らないからです。

 仮に骨癒合しなくても、それほど強い機能障害が残るわけではなく、筋力などが適正であれば普通にスポーツもできます。なぜなら、成人の腰椎分離症はほとんど無症状なのです。但し、分離すべり症に移行することもありますので、注意が必要です。

(図4)

(図5)

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腹筋訓練

腰椎分離症_05_2

背筋のストレッチング

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大腿部のストレッチング

大腿部うしろ側のストレッチング

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