外傷 脊椎圧迫骨折 原因・病態・症状 骨粗鬆症の強い高齢の女性が、転倒など軽微な外力でも受傷してしまう場合(図1)と、若年者が、交通事故や労災事故で、転落するなど強大な外力で受傷する場合とに、大きく2分されます。 通常、強い痛みで体動困難になりますが、軽微な外力で受傷し、少しずつ圧縮が進行する場合、無症候性に過ぎ、後に別の機会でレントゲン撮影した際に気づくこともあります。 (図1) レントゲンで最初に圧縮が確認できず、経時的に撮影していくと圧縮がはっきりしてくることもあります。圧迫骨折にて圧縮が起こるのは、椎骨のうち、前方の椎体という部位(腰椎分離症の項参照)です。椎体は二重焼きのような形のずんぐりした円柱なのですが、後方は椎弓根が付着するため硬く、通常骨折しません。つまり、前方だけ潰れるので、横から見ると、正常なら長方形なのですが、圧迫骨折では前方の短い台形になります(図2)。そして前方の圧潰は、普通経時的に進行していきます。体重などの負荷により、骨癒合の過程で、次第に圧縮が進んでしまうことが多いのです(図3)。あまり圧縮が進んでしまうと、背が低くなるばかりか、前方だけ短くなるため、脊柱が角状変形となったり、円背のため頑固な痛みを残したりしてしまいます(図4)。 (図2) 一般的には高齢者の場合、骨癒合が完了するのに4ヶ月ほどかかると推測します。もちろん骨粗鬆症の程度や受傷時の外力の大きさなどによって変わってきます。 (図3) 受傷直後 受傷後1ヶ月 (図4) 受傷直後 受傷後6ヶ月 治療 日頃から転倒予防にこころがけ、骨粗鬆症治療をしっかり受けることも大切です。 治療上、注意しないといけないのは、できるだけ椎体の圧縮を避けることと、最低限、偽関節にならないようにしたいです。偽関節とは、最終的に骨癒合が得られない状態で、椎体が、前方が開くカスタネットのように、体動とともに動いてしまって、頑固な痛みとなります。 私は基本的に、受傷直後から入院してもらって、安静を守らせます。初期にはトイレ歩行以外、床上安静くらいが良いでしょう。薬などで痛みを除去しながら、ダーメンコルセットという少し固めのコルセットを2~3ヶ月間装着します。昔はギプスベッド上に寝かせ、絶対安静としていたものですが、そこまではしません。廃用防止の為、骨癒合を促しつつ、筋力強化や全身調整などのリハビリを行います。 橈骨遠位端骨折 前の記事 大腿骨頚部骨折 次の記事