その他 陥入爪(巻き爪) 病態・原因・症状 爪は根元にある爪母(図1)という、末節骨の骨膜から移行する組織から生えてきます。爪が取れてしまっても、爪母が健常であれば、爪はまた生えてきます。爪母のどちらかの端が、外傷や靴との不適合、先天的な要因により、骨の側に巻き込んでしまうと、生えた爪の端も同様に巻き込んでしまい、爪の角が、皮膚を刺激して痛んだり、感染症を起こしたりしてしまいます。炎症が強すぎると、受容しきらず不良肉芽ができ、容易に出血、激痛を発し、運動ができなくなってきます。 頻度が高く、学生など若い人にも多く、革靴が履けない、運動できないのが大きな苦痛となるなど、たかが爪だからと軽視できない疾病です。 (図1) 治療 外反母趾と同じく、つま先から接地する歩き方や、きつい靴、靴の中での足の前後不安定などが原因となると考えているので、歩行の仕方や靴、足底板などの指導をさせてもらっています。つまり、踵から接地し歩行することが大切で、つま先に余裕があり、足が安定する靴を選びます。足を靴の中で安定にするために、紐をしっかり絞める、中敷きを入れるなどの工夫をします。 (図2) 軽症であれば、まず抗生物質や塗り薬を処方し、爪の角を手入れして経過をみます。 重症になると長期化し不良肉芽が生じ、浸出液や痛みが強く、運動が困難になってきます。このような場合は、手術を考慮します。 手術は局所麻酔下で、私がやれば15分ほどで完了できます。外来でも可能ですが、当日は止血を要するためしっかり圧迫し、安静にします。図2の如く、爪母の、曲がっている爪を出す部分を含めて、陥入した爪と爪床を切除します。この際、爪幅が狭くなりすぎないよう注意します。再発しないよう、爪母は末節骨の骨膜部分まで十分切除します。丁寧に爪郭の皮膚を爪の下に縫い込んで終了です。術後3週ほどは創処置に通院が必要となります。ひと月ほどで腫れや痛みが退いてすっきりしてきます。 悪性骨腫瘍 前の記事 たこ・うおのめ・いぼ 次の記事