スポーツ外傷・障害 膝の慢性疼痛 症状・病態 ランニングやジャンプ、ダッシュ、キックなどの激しく膝を曲げ伸ばしするスポーツ動作を長時間、長期間行ったり、あるいは運動を従来あまりしない人が、急に始めたりすると、しばしば膝の前側付近に痛みを生じてきます(アンテリアニーペイン、図1)。使い過ぎ(オーバーユース)症候群ともいわれます。痛くて階段を1段飛ばしで降りられなくなります。表1に発症の要因となりやすい項目をあげておきます。 (図1) (表1) 靭帯や腱は、両端が骨に停止(付着、あるいは連結、接続といってもいいかもしれません)しています。この連結は非常に強固なものであり、靭帯や腱の線維が深く骨に入り込んでいます。大工仕事で木片に布のテープを固定することを思い浮かべてみてください。のりで付けたぐらいではすぐ取れてしまうので、細かい釘を何本か打ち付けて固定するとしっかりします。それくらい強い接続なのです。 ただ、激しいスポーツをするとやはり、靭帯や腱の骨への付着部に、大きな負荷が集中しやすくなり、組織のダメージが生まれ、痛みます。 以下の3つの病態(図2)となりやすいので3項目で紹介します。 2.ジャンパ-膝(膝蓋腱炎) 膝蓋骨の下の腱骨移行部に炎症が起こります。 3.鵞足炎(がそくえん) 膝の内下方で、大腿内方から来る四つの腱が束になって停止する部位があり、鵞足といいます。この部の炎症も若い方中心によく見かけます。 4.ランナー膝(腸脛靭帯炎) 膝の外側で、外上顆という骨の突起と、大腿の外側を大きく走る腸脛靭帯の間に摩擦が生じて、炎症が起こります。O脚の方に発生しやすくなります。 (図2)クリックで拡大 治療 スポーツ活動の前に、ウォーミングアップ(ストレッチなど、図3)をしっかり行います。また活動後は、クールダウン(やはりストレッチが中心、熱を持つようなら五分程度アイシングしてもかまいません。)も忘れてはなりません。 薬剤や特にステロイドの局所注射は有効です。 軽症や中等症であれば、悪化させないようスポーツ環境を整えることによって、続けて活動することが出来ます。重症になれば、スポーツ活動中も痛みます。こうなれば、3週程度活動を休止した方がいいでしょう。 (図3) 腸脛靭帯のストレッチング 大腿四頭筋のストレッチング 内転筋のストレッチング シーバー(Sever)病(踵骨々端症) 前の記事 橈骨遠位端骨折 次の記事