スポーツ外傷・障害

オスグッド氏病

症状・病態

 病とついていますが適切でなく、オスグッド状態とでもいうべきだと思います。膝蓋骨の5cmほど下で、脛骨結節という部位が腫れて、蹴るなどの膝を伸ばす動作で痛みます(図1)。

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(図1)

 脛骨結節は膝蓋靭帯の付着部であり、大腿四頭筋の力を下腿に伝達します。大腿四頭筋(図2)は大腿の前の大部分を占める筋で、膝を伸ばすための筋はこれしかありません。膝蓋骨を筋内に含みますが、膝蓋骨は筋力の向きを変える装置であり、あらゆる膝の屈曲角度で、大腿四頭筋の力を脛骨結節に伝えることが出来ます。また膝蓋靭帯と結節は非常に強固に線維性に連結しています。

 サッカーやバレーなどに代表される、激しく膝を蹴る動作の多いスポーツにおいて、膝蓋結節の直下に成長軟骨の存在する成長期では、結節自体や直下の成長軟骨が上方に剥れてしまうことがあります。これが本症です。程度は様々で剥離骨折のようになることもあります(図3)。成人となって治癒しても、結節部が隆起したままのこともあります。

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(図2)

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(図3)

治療

 特別所見が強ければ、3週程度局所安静としますが、原則としてスポーツを続けながら、治療します。基本的に、成長が終了すれば治癒してしまうのですから、恐れたりこれのために無用に運動制限したりする必要はないと考えますが、痛みをうまくコントロールできないと、痛みのために運動できなくなります。消炎鎮痛剤や外用薬ももちろん有用ですが、ステロイドの局所注射(トリガーポイント注射)が最も有効でしょう。装具の利用も考えられますが、膝は円柱構造で下方が細くなっているので、下にずれやすいなど、やや不便なため、あまり勧めていません。

 痛みが軽いときは、ストレッチをしっかり行って、大腿四頭筋を柔軟にしておくとよいでしょう(図4)。

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(図4)安静、休息
大腿四頭筋のストレッチング

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