外傷

橈骨遠位端骨折

原因、病態、症状

 激しく手のひらを着いて転倒して、受傷します。小中学生くらいの子供さんと、中高年以降の年配の女性に起こりやすい(図1) のですが、骨粗鬆症の強い中高年の方の場合、軽微な外力でも骨折することがあります。

撓骨遠位端骨折_01

(図1)

 痛みや腫れのため手が使いにくく、転位がひどいと、骨折部でフォーク状変形(図2)となります。手関節のすぐ中枢側で骨折が起こります(図3)。

撓骨遠位端骨折_02

(図2)

撓骨遠位端骨折_03

(図3)クリックで拡大

治療

 子供の場合、徒手整復後、3週間程度ギプスシャーレ固定を行います。シャーレとは、腕の背面だけの帯状のギプスで、病院で取り外し、腕を洗ってあげることが出来ます。また腫れが退いても、包帯で固定状態を調節でき、有利です。ほとんどの場合、3週間あれば骨癒合します。ギプス除去後、1~2週程度リハビリを要することもあります。

 中高年の方の場合、徒手整復がうまくできても、整復位を保持するのが困難なことがあり、あるいは手関節面が骨折によりずれている場合、手術を行います。

 プレート固定を行った方の術前、術後のレントゲン写真を図4に提示します。

(図4)

撓骨遠位端骨折_04

骨折時側面像(左)
プレート固定後側面像(右)

 手術後なら3週程度、保存療法なら、4~6週程度のギプス固定を行った後、2ヶ月程度リハビリを行います。骨癒合は一ヵ月半から2ヶ月はかかります。痛みや腫れが退いていく過程で、関節の動きや筋力を取り戻し、機能回復を果たすのが、リハビリの目的となります。本骨折は、RSDという骨折後の不調に陥りやすく、骨萎縮や色調変化、腫れや痛みが長引き、関節に拘縮を後遺することがあります。

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