スポーツ外傷・障害

つき指・側副靭帯損傷・マレット変形

つき指

 つき指はボールを受け損ねて起こる場合が一般的ですが、転倒の際に床や地面で指をついて受傷することもあります。

 つき指による損傷は、頻度の高いPIP関節の側副靭帯損傷(親指では、IP関節の尺側側副靭帯損傷)と、マレット変形があります。

側副靭帯損傷

症状・病態

 側副靭帯とは膝や肘、指関節のような蝶番(ちょうつがい、ヒンジ)関節において、関節の両サイドで二つの骨をつなぎ止め、扇の要のようになってヒンジを成立させている、とても重要な装置です(図2親指の例)。先の足関節の前距腓靭帯も側副靭帯のひとつです。

 親指では、MP関節において尺側の靭帯が傷害されます(図3)。つまんだり捻ったりする作業で痛みが出て力が入りません(図1)。

つき指_01

(図1)

つき指_02

(図2)

つき指_03

(図3)

 むしろ親指より他の4指の方が、つき指の頻度は高く、PIP関節(爪から二番目の関節)が損傷を受けます。PIP関節は腫れ上がり、動かしにくく、両サイドのどちらかがより強い圧痛があります。3度の損傷(表1)であれば、ストレスを加えると損傷した側が開いて、不安定性(動揺性)を確認できます。

(表1)

治療

 側副靭帯が修復されないままであると、関節がヒンジ機能を充分発揮できないので、痛みや不安定性を残してしまいます。1度の損傷だと湿布処置くらいで済みますが、2度や3度の場合は原則として3週間ギプス固定します。ギプス除去後2週間程度リハビリを要することもあります。親指の場合、剥離骨片を伴っていれば手術的に固定することも考慮します(図4)。

(図4)

マレット変形

病態・症状

 つき指で、DIP関節(爪から一番近い関節)が強いダメージを受けた場合に、受傷してしまいます。マレットとは金槌の意味で、図5の如くDIP関節が曲がったまま伸びなくなります。伸筋腱が切れている場合と、腱の付着部の骨折を伴っている場合があります(図6)。多くは学生さんが球技による突き指で受傷します。

つき指_05

(図5)

つき指_06

(図6)

治療

 スプリント固定(図7)で良いこともありますが、末節骨の骨片を伴っている場合は通常、経皮的ワイヤー刺入を行います。私は基本的には当日に、局所麻酔を行い、透視下で鋼線刺入を行っています。

つき指_07

(図7)

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